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「……あらやだ、二人ともそんなに仲良くなったの? 昔を思い出すわ」
お母さんたちはのん気に笑っている。私は今、動揺で胸がおかしくなりそうなのに。
「最初はどうなることかと思ったけど、仲良くなってくれてよかったわ。ね、お父さん」
「うんうん」
お父さんもうなずいている。
「春ちゃんの弁当がうまいんで、餌付けられました」
「なっ……!」
「春菜よかったじゃないの。料理の練習にもなるしね」
「……そうだけど」
龍くんの手がとまり、横にいる私を見る。
「料理がうまくなりたいのか?」
そういえば龍くんには何も話していなかった。というかむしろ、私が料理をする理由はずっと隠しておきたい。
「彼氏にお弁当作るのが夢なんですって」
「お母さん、ちょっと!」
なのにお母さんがさらっと暴露してしまう。しかも、お父さんの前でも。
「おいおいそれはお父さんも聞いてないぞ。彼氏がいるのか?」
「違うってば! 夢の話で……ってもういいでしょ!」
まさかこんなことになるとは思っていなかった。龍くんだけならまだしも、お父さんにまでバレてしまう
「春菜、ごめんね」
お母さんは両手を合わせて困った顔をする。
「いいよ、もう」
知られてしまったらもう遅い。でもこの場にいるのが居たたまれなくて、なるべく急いで朝食を食べ終え、部屋に戻った。
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