まだ好きでいてもいいですか?

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「……嶺人さんは本当に私が好きなのですか。傷を負わせたから、責任感でそう思っているだけなのではないですか?」 「そんなわけがあるか。全く」  呆れたように答えて、のろのろと嶺人が美雨の上から退いた。隣にどさりと長躯を投げ出す。 「俺はあの事故の前から……初めて会ったときから美雨が好きなんだよ」  ベッドに寝そべったまま、互いの視線が絡んだ。振り絞るような嶺人の声に、美雨は胸を衝かれる。 「初めて、会ったとき……」  記憶を探るが覚えがない。たぶん何かのパーティーで会ったのだと思うがどうだったろうか。  不可解そうな美雨の表情に、嶺人が「忘れているのは知っている」と悲しげに笑った。 「高校のときに学園祭があっただろ。俺は写真部で……企画展示を見に来た美雨が、俺の作品を綺麗だと言ってくれたんだ」 「……あれっ?」  眼裏に閃くものがあって、美雨は声を上げた。 「熱帯魚の写真の先輩? あれは嶺人さんだったのですか?」 「そうだ」  嶺人は端的に応じ、感慨深げに囁いた。「やっと思い出してくれたか」  一方、美雨は過去の思い出をたぐりよせ、懸命に点と点を線で繋げていた。急に色々なことが腑に落ちて、固いもので頭をぶん殴られたような衝撃に見舞われる。ベッドの上でワーッと叫んで丸くなりたくなった。 (それじゃあ、今までの何もかもが……!?)
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