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そうして顔が近寄せられ、吐息が混ざり合い、唇が触れる。すぐにもっと深く繋がって、嶺人が堪えきれないように熱い息を漏らした。いつも白々としたかんばせの、目元が赤くなっている。美雨の足に触れようとした手がぐっと握り込まれた。
「あの……私の足は開きませんが……それでもよければ……」
羞恥に顔を赤らめながら言うと、嶺人が呆気に取られたように目を見開いた。だがすぐに柔らかく片笑み、美雨の耳朶に唇を近づける。
「それくらい些細なことだ。美雨は俺にだけ任せてくれればいい」
美雨はもういっぱいいっぱいで、真っ赤な顔を晒して頷くしかできなかった。自分の体を暴く嶺人の手の温もりにほっと胸を撫で下ろしてから、奇妙なことだと我に返る。
こんな思いをさせているのは彼なのに、美雨はどうしても嶺人に寄る辺を求めてしまう。
嶺人が妖艶に微笑んだ。
「大丈夫だ、痛い思いはさせない。……良いことだけしてやる」
寝室の明かりが消され、あとは瞬く夜景だけが窓を照らしていた。
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