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思い描いた騎士
ガーナス騎士学校。
ガーナス王国の騎士育成学校である。
四年制の学校で、成績次第では国の近衛になることも夢ではない。
ほとんどの男が一度は目指す憧れである近衛になるための第一関門が、ここガーナス騎士学校というわけだ。
俺、ルートツ・バイラスも例外ではなく、騎士学校に入ったのは家の意向ももちろんだが、単純に俺が騎士に憧れがあるからに他ならない。
だが、そんな記憶もとうの昔。
なにがどうしてこうなったのかはわからないが、俺は異世界に渡った。
そして?元の世界では女だった。
当然だが思った。別に近衛にまでならなくてもいいんじゃない?
剣を振るのは今でも好きだ。
騎士に対する憧れもある。
だけれど、人格が統合されたことで騎士に対する見方が変わった。ある意味視野が広まったといえるだろう。
近衛になるのではなく、自分がなりたい騎士になればいい。
自由に野原を駆ける野蛮人を夢見たことがある。
俺は御伽話に出てくるような勇気と聖人のような心を持った英雄ではなく、自分勝手に騒いで楽しめるような騎士になりたい。
なにも騎士じゃなくたっていい。
むしろ自由を追い求めるなら冒険者にでもなればいい。
けれどこれでも俺は貴族だから。
人の上に立つのだったら俺には人を護る義務がある。
俺は幸運にも不運にも第二の人生を迫られた身だ。
それなら、今までのようにぼーっと生きるのはやめにしよう。
面白おかしく、出来うる限り自由に、自分が1番楽しめるような、そんな人生にしてみせようじゃないか。
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