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騎士候補生の日常
してみせようじゃないか。なんて大見得を切った割に俺の生活は以前と変わらない。
いつもの通り早い時間に起きて寮の周りを走る。
軽く運動した後にはシャワーを浴びてから制服に着替えて学校へ通うのだ。
寮から学校へと続く並木道を歩く。
学校があるのは王都の中心街から少し離れた場所だ。
そのため多くの生徒が寮を利用している。
「よう!ルートツ。休日明けだってのに今日もはえーなぁ。」
俺の友人であるシン・バルロスもその一人。
今年から寮は1人部屋となったが、以前まで同室だったことでそのまま交流関係を続けている。
なんでも彼が騎士を目指そうとしたのは幼馴染との約束があるんだと。
一緒に騎士を目指して互いに高め合う約束をしたというのにその幼馴染は実家の都合で行方がわからなくなったんだそうだ。
それでも騎士になる夢を忘れず頑張る運動会系イケメン。
さすがファンタジーの世界。作り込みに余念がない。
「あ、そうだ。今日実技試験あったよな?」
あー、そうだった。世界を渡る一大イベントのせいですっかり忘れてしまっていた。
「俺対策してないかも、、、。」
「え?ちょまじ?晩年学年主席のお前が??」
おお、どうやらルートツは成績優秀だったらしい。流石だな、俺。
「まぁ、どうにかなるだろ。」
「そんなわけねぇ、って言いたいけどお前ならなんとかなりそうなんだよなぁ〜。」
「はいはいありがとさん。いつまでも止まってないでそろそろ行くぞ。」
「あっ、おい待て!」
他の生徒の邪魔になる前に、と話したままのシンを置いて俺はささっと教室へと向かった。
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