第一章

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一人で頭を働かせながら大聖堂に入ると、祭壇の前に2人の男女が立っている姿が目に入った。 (えっと……見学予定は入ってなかったはずだけどな……) 麻耶は慌ててお辞儀をするとそっと顔を上げた。 遠くから見てもそのふたりは美男美女で、男性は真っ黒の髪をきちんとセットし、切れ長の瞳、整った顔、そして180㎝はありそうなモデルの様なスタイルに、上品なスーツに身を包んでいた。また、女性もセットアップのスーツ姿に髪をきちんとアップにした綺麗な女性だった。 「ご見学ですか?」 麻耶は祭壇に近づきながら笑顔でその二人をみると声を掛けた。 「え?」 女性の方が驚いたように麻耶をみた。 その問いに麻耶も首を傾げまじまじとその男性を見上げた。 (え……っと、ちょっと待って、嘘でしょ……私なんて声を掛けた??) 「失礼いたしました。社長!」 麻耶は勢いよく頭を下げると謝罪の言葉を述べて1歩後ろに下がった。 そこにいたのは若干29歳の若さにしてこの会社を立ち上げた宮田芳也その人だった。
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