第三章『原詩菜と飴玉』

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 二組の教室が見えてきた頃、珍しくヤヨイが二組の後方の扉に前にいた。誰かと話しているようで、笑っている。ヤヨイは他の子にない品を持つ、とても柔らしい笑い方をする。 afcaee8c-2078-46e7-b8f2-a53ca8785ca2  小四でヤヨイが転校してきた最初の方は皆が羨み、彼女を“薔薇の咲くお屋敷のお嬢様”と呼んでいた。しかし、親しみやすい性格で思いっきり笑うし、元気で話の組み立ても上手い。あだ名はすぐに消えた。  自分の意見をしっかり持ち、相手の話も楽しそうに聞いてくれるから、私もヤヨイと話すのが楽しかった。 b5e82197-d418-4f97-b4e0-aef5f0c33677  ……前の扉から入ろう。他の子の後ろを歩き、黙って通り過ぎるつもりだったのだが、話を終えたヤヨイとちょうど目が合った。  ヤヨイの目線が私の顔から、手に持った黒いにワンピース落ちる。落ちた後、再度目が合った。 f52a3a34-9071-4dd2-a9e5-8221d5d3e0e2 挿絵:Ai Subarasiki 様    nono 様 / 夜ト 様 X:@aisubarasiki / @nono___xxx_ @yotogami_0723
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