第三章『原詩菜と飴玉』

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 笑顔の合原君が左手で中を指差してすぐ、“ご~うはら~~~っ”メガネバシ君らしき声に呼ばれた。 「ちょっとは静かに塗ってろ、うざいっ塗れ」  メガネバシ君にだけ向けるトゲトゲの態度に、中からは笑い声が漏れてきた。 「私、行くね」 「あの人、私が詩菜を虐めてるって勘違いしたのかもね」  ワイワイ大変そうね。それじゃあまた。 2489f167-e4a0-4eeb-afed-d47776598da9  意外にも微笑み、胸の前で微かに手を振るヤヨイと別れて教室に入ると、面積に広い板を床に四枚広げ、二枚は美術部員を中心に下書きを、もう二枚はペンキで色を塗っていた。 挿絵:ふじ◯ 様 X:@fujimaru_niji
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