第四章『原ちなつと哲学』

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 腰を屈め、大きな段ボール箱に両手を入れた所で、誰かが私を呼んだ。 「あら、犀川(さいかわ)君」 「プロジェクター、運ぶんですよね。手伝えたらと思って」 「わざわざ来てくれたの、ごめんね。大丈夫だよ」 「いえ、偶然通りかかったので良かったら。前回の授業の終わりに、次回までプロジェクター使うって、先生言ってたような気がして何となく……来て良かった」  二年二組で詩菜の友達、近所に住む犀川皐月(さいかわさつき)は真面目で、気の利く生徒だった。 84f96f71-bfd4-4141-8720-e2b2518b4ca0  実際、一直線に廊下を歩くのみ。わざわざ思い出して来てくれたのか。 「犀川君、ありがとう」 9f3c9f0b-83cf-4153-9581-5e1a7dbf7e99 niji・journeyにて作成
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