第四章『原ちなつと哲学』

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「すみません、さっき、顔ぶつかりましたよね」 「軽く当たったくらい、驚いたね。犀川君は?」 「俺は、特に何も」  プロジェクターは、変わらず犀川君の手元に残る。犀川君の着るシャツから、自宅で使う柔軟剤と同じ香りがした。 ec69cd3d-b662-4f58-aeaa-d0c05c020f06  成長期の男の子は、グングン背が伸びる。犀川君も去年以上に、更に身長が伸びていた。  あっさりした顔つきで、優しい笑顔が印象的な爽やかな犀川君は、どんな大人になるのだろう。教え子たちも、数年後に成人を迎える。 acc9a34f-94eb-47a3-9c46-1b57cb8c69d2  優しく親切な犀川君が描いた未来を、将来大人の詩菜がそっと私に教えてくれそうだ。 3aec446b-e369-4052-9dc4-2ec2042b20a6 「来てくれてありがとう。犀川君、助かったよ」 5f71b910-689d-4a1c-a192-a73d29c2db4c 挿絵:まりちゃ 様 / 何某 様    Vitsu様    ゴリラの素材屋さん 様 X:@5_wj7 / @nngs_img
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