第一章『合原貴晴と朝顔』

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 屋台の近くで突っ立って見上げる花火、七色がやがて金に変化すると終わりも近い。  夜空に垂れる金色がこれでもかと長い時間続いている途中で、ポツリポツリ。芝生から腰を上げる人たちは、おそらく帰りの激混みを避ける為であろう。 「そろそろ、俺らも帰る?」  たこ焼きを食べ終えた友達の声に頷くと、ポイッとゴミ箱にポテトの空箱を捨て、花火に背を向ける。  地元の広域公園で開催される花火大会、一旦帰宅後バスで来た。襟元をパタパタ、なんせ暑い。熱帯夜である。 9a61d454-9e06-45aa-a7b2-64e8ea57ec97 挿絵:たろたろ 様
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