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「……なんなのよ、これ。わけわかんないんだけど」
「わ、わたしだって」
「あーもうっ。なんでよりによって心春なのよ」
ぶつぶつと文句を言いながら、やっと立ちあがるわたし……じゃなくて中身は多分――。
「唯菜……ちゃん?」
「なによ」
ギロッとわたしをにらんでくる。
こ、こわっ。見た目はわたしなのに……っていうか、中身は唯菜ちゃんのはずなのに。
唯菜ちゃんって、いつもたくさんの友だちの真ん中で、優しくにこにこ笑ってるイメージだったんだけど。
なんか……ちがう……?
「あのさ、これってやっぱり、心が入れ替わっちゃったとか、そういうやつ……だよね?」
「あたしに聞かれたって知らないってば。でも……そういうことなんじゃないの?」
唯菜ちゃんが、はぁーと深いため息をつくと、不機嫌そうな声で続ける。
「頼むから、あたしのイメージ、絶対に壊さないでよ」
それを言うなら、わたしだって。
わたしがいきなりいつもの唯菜ちゃんみたいに、にこにこしながら誰とでも親しげに話すようになったりしたら、みんな絶対びっくりしちゃうよ。
それに、家に帰ったらお店のお手伝いだってしなくちゃいけないのに。
そんなこと、唯菜ちゃんに頼めないし……。
どうしたらいいんだろ。
「どうした、心春? なんかあった?」
突然男子の声がして、びくんっと二人して肩を震わせる。
この声は……。
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