1.なんで!?

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 おそるおそる声の方を見ると、クラスメイトで、わたしの幼なじみの白沢(しらさわ)(そう)がいた。 「実はね――」 「別に? なんにもないよ?」  爽に相談しようとしたら、にこにこ笑顔の唯菜ちゃんが、わたしの言葉にかぶせてきた。  唯菜ちゃんの方をちらっと見ると、『絶対に言わないでよ』って目が主張してる。  爽なら力になってくれると思ったんだけど……。 「早く音楽室行かないと、授業はじまるぞ」 「そ、そうだね」 「ちょっと待って心……唯菜。教室にペンケース取りに戻るんでしょ?」  音楽室へ向かおうとするわたしの腕に、唯菜ちゃんが自分の両腕をがしっとからめる。 「あ……あー、そうだった、そうだった」 「もう、唯菜ってば、意外とおっちょこちょいでかわいいとこあるんだからぁ」  ほら行くよ、という唯菜ちゃんに引きずられるようにして、わたしは教室に向かって歩きはじめた。 「あ、そうだ心春。今晩、また心春んちだから、よろしくな」  という爽の声に、「うん、わかったー」って振り返りながらいつも通り返事をして。  ……だから、わたしが答えちゃダメなんだってば! 「いや、えっと、その……」  あたふたするわたしを見て、爽が首をかしげている。 「今晩ね。わかった。待ってるね」 「おう。んじゃ、よろしくな」  唯菜ちゃんに向かってひらっと手を振ると、今度こそ爽は音楽室の方へと歩いていった。  ホッ。唯菜ちゃんがうまく話を合わせてくれてよかった。 「――で?」  ものすごく低い声が、隣から聞こえてくる。  唯菜ちゃん、やっぱりいつもとなんかキャラが……。
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