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「今の、どういうこと?」
「どういうことって……?」
「まさか心春、爽くんと付き合ってるわけじゃないでしょうねぇ」
「ち、ちがう、ちがう! 爽のお父さんとお母さんのお仕事が忙しくて、うちのお店にたまに晩ご飯を食べにくるってだけで……。わたしっていうより、お母さん同士が仲よしなの。あと、ついでに、爽にもお店のお手伝いをしてもらったりしてるんだけど……」
そう言いながら、唯菜ちゃんの方をちらっと見る。
「ああ、そういうことね。たしか心春んちって、大通りにある洋食屋さんだったわよね?」
「そう。『亜桜野』っていうお店」
「ふぅん。なんとなくわかったわ。じゃあ、あたしは学校から帰ったら、爽くんと一緒にお店のお手伝いをすればいいってことね」
「えぇっ⁉」
「なに? ちがうの?」
「いや、そうなんだけど……」
唯菜ちゃんにこんなこと頼んじゃって、本当に大丈夫なのかなぁ……。
慣れるまでわたし、何度もお料理をひっくり返したり、注文を間違えたり、いっぱいミスしちゃったんだけど。
「本当にお願いしちゃっていいの?」
「しょうがないでしょ。こんなことになってるなんて、他の人にいくら説明したって信じてもらえないってことは、さっきの杏と凜の反応でわかったし」
そんなふうに言いつつも、なんだか楽しそうに聞こえなくもないんですけど?
「あー、でも、ってことは……」
そうつぶやきながら、一瞬唯菜ちゃんの顔が曇る。どうしたんだろ?
「ま、うちの親はいつも帰りが遅いし、あんまり顔を合わせることもないと思うから。安心して」
さっと表情を元に戻すと、なんでもないようにそっけなく言った。
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