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「ねえ唯菜ちゃん、昨日のMスタ見た?」
隣を歩く心春の姿の唯菜ちゃんが、音楽の教科書を胸にきゅっと抱きしめ、キラキラした瞳をわたしに向けてくる。
「え……と、うん」
もちろん見たに決まってるよ。
だって昨日は、アクアの新曲初披露だったんだから!
……って言いたいところだけど、ぐっと我慢。
「大東くん、やっぱ最高にカッコよかったよねぇ」
うっとりとした顔で、ため息をつく唯菜ちゃん。
あ……やっぱり唯菜ちゃんが好きなのも、ライトニング☆スター事務所のアイドルの方……か。
よかった、余計なことを言わなくて。
クラスの大半の女子が夢中なのは、男性アイドル――特に、ライトニング☆スター事務所所属のアイドルグループの人気は絶大だ。
「心春も大東くん推しなんだ。唯菜と一緒じゃん。うちはどちらかというと小端くん派だけどねー」
「わたしはやっぱ西田くん。なんでみんな西田くんのよさをわかってくれないかなー」
わたしを挟んだまま、三人でなんだか盛りあがってる。
こんなの、わたし、ただの邪魔者じゃない?
あーあ、なんでこんなことになっちゃったんだろ……。
こんなことなら、心春でぼっちのままの方がずっとよかったよ。
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