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フラフラと空の彼方へ消えていく銀盤を見送り、琴葉はほっと胸を撫で下ろした。
リリリリ。連絡を知らせるスマホを手に、もしもしと耳に当てる。
相手は友人の乃々子だった。興奮気味に、「私たち助かったんだよね!」と捲し立てる。
「マジで嬉しすぎる! 誰なんだろ救世主様っ!」
「あっ、私だよ」
あっさり答えた琴葉に対し、乃々子はあははっと笑い声をあげた。
「ちょっと、エイプリルフールは終わったわよ!」
まったく持ってその通りである。
つまりこれは嘘ではないのだが、日頃の行いのせいか、ちっとも信じてもらえなかった。
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