虹の咲く屋上

1/2
前へ
/2ページ
次へ
 まだ寒さの残る、淡い桜色の季節。  「ご臨終です」  長い生涯を終えた、大好きな祖母。  横向きになった頬から流れる、一筋の涙。  その涙はまるで、宝石のようにキラリと光る。  最期に間に合わなかった後悔は、心の時計を錆びつかせていく。  なんの涙だったのだろう、幸せな人生だったのだろうかと、もう返ってこない問いかけばかりが、増えていく。  
/2ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2人が本棚に入れています
本棚に追加