第2話 隠したくなるのは

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      3 「ここですかね」 「うん。合ってるはず」  二日後、僕たちは自宅兼お店から歩いて十分ほどの場所にあるパチンコ店を訪れた。  永田さんがほんの二、三時間で三万円を失ったという、恐怖の場所である。 「スロットは三階みたいだね」  なんの躊躇もなく入店した千鶴さんに続いて、僕も中に入る。  思っていたよりうるさくなくて、きれいなお店だった。  一階と二階はパチンコエリアで、ほどほどにお客さんが入っていた。  平日の昼過ぎだというのに、スーツ姿の人もちらほら見られる。 「おー、なんか雰囲気あるね」  三階に到着してすぐに、千鶴さんがこう言った。  おそらく照明が落とされて暗くなっていることを指しているのだろう。本物は知らないけれど、カジノっぽい雰囲気が確かにある。 「まずはぐるっと回ってみようか」  千鶴さんの提案に従い、ゆっくり歩いてみることに。  想像より静かなだけで、普段より声を大きくしないといけない。
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