第2話 隠したくなるのは

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「永田さんが遊んでたのはどれかって、聞いてるんですか?」 「うん。でも、別にひとつに決めてるわけじゃなくて、いろいろやってるみたい」  あんまり人が遊んでいるのをじろじろ見るわけにもいかないだろうと、僕は空いている台を中心に見て回った。  台の上には今日の成績と言えばいいのか、何回遊んで何回当たったかとか、そういうデータを表示する機械がある。 「確かこれだったはず」  足を止めた千鶴さんが、耳打ちするように言う。  見覚えのあるアニメを題材にしたもので、四台あるけれどすべての席が埋まっていた。 「新しい機種なんですね」 「そうみたいだね。みんな当たってるのかな」  獲得したメダルが積んである光景をイメージしていたのだが、最近は各台にメダル計数機が備えられているらしく、誰がどれだけ勝っているかはわかりにくい。  四人中一人は、手元にたくさんのメダルがあるように見えたけれど、他はそうでもなさそうだ。 「……」  静かにプレイヤーの様子を見ていた千鶴さんだけど、少ししたら無言で移動を開始した。  僕もおとなしくその後ろに続く。
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