第2話 隠したくなるのは

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「あ、この絵柄は見たことあるね」 「そうですね。お店の外にもあったような気がします」  いかにもスロットっぽい、ピエロの絵が書かれた台が何種類かあるコーナーに出た。  ここには結構な数の人がいて、にぎやかな音楽があちこちから聞こえてきた。 「……」  ここでも千鶴さんは静かにプレイヤーの様子を観察するだけだった。  千鶴さんにしては珍しく、無表情である。 「ところで、僕たちはどれで遊ぶんですか?」  再び動き出した千鶴さんに尋ねる。  永田さんが遊んでいたものがベストだと思ったが、空いていなければどうしようもない。 「二人で同じものをやりたいよね。あとはもちろん、なるべく楽しそうなもの」  当たりそうなものなんてわかりっこないから、千鶴さんの方針を受け入れる。  同じ機種で並んで座れるものは限られそうだから、選択肢は少ないかも。  その後も店内を歩き回り、一周してスタート地点に戻ってきた。  僕の見立てでは、遊ぶ候補は三種類くらいか。
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