第2話 隠したくなるのは

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「ちょっと調べたんですけど、特定の図柄を狙って揃えるものじゃないみたいですよ」 「そうなの? まぁ、そうだよね。さっきの様子を見ればわかる」 「チャンスのときだけ狙って、あとは適当でいいらしいです。チャンスを引くと、そこからいろんな演出に発展して、それで当たりかどうか決まるって」 「液晶画面があるやつはそうなんだろうね。永田さんもそういう話はしてた。熱い演出が来たのに外れたら腹立つけど、そうでもないときに当たることもあるからそれが楽しいって」 「そういう機種を選んだらいいんじゃないですかね。僕も、液晶画面がない台は楽しめる気がしませんし」 「そうだね。なに、蓮くんはスロットについて調べたの?」 「は、はい。さすがに何の知識も持たずに挑むのは怖いなって」 「蓮くんはそういうタイプだよね。私はまっさらな気持ちで挑んだほうが楽しめると思ったから、下調べはなしにしたよ。蓮くんが調べてくれることも見越してね」  今のウインクはとてもかわいかったけれど、はじめからそう言ってくれればよかったのに。  千鶴さんから何も指示がなかったから、昨晩僕は自室で黙々と調べたのだ。
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