第2話 隠したくなるのは

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「まずはここにお金を入れて、このボタンを押すとメダルが出てくるはずです」  手本を示す形で、僕が先にやってみせた。ちなみに、お金は各自自腹である。  仕事じゃないから経費にはならないし、そのほうが真剣になれるだろうと千鶴さんは言う。  まずはお試しということで、二人で千円ずつ投入してメダルを得る。  千円で46枚なのだが、これが最もレートが高いものだ。永田さんが遊んでいるのもこれだそう。  メダルがすごい勢いで飛び出してきて、いよいよゲームが始まった。  始めはとにかく、どんな内容なのかを知るようにしないと。 「とりあえず、最初は左のボタンでこの白い図柄を狙うみたいです」  台に備え置かれていた簡易的な説明書を手に、千鶴さんに説明する。  それからメダルを投入し、レバーを軽く叩く。 「わ、近くで見ると意外に速いね」  僕の台のリールを見ながら、千鶴さんは楽しげに言った。  きちんと狙った通りに止められるか、不安を胸に僕はボタンを押す。
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