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「僕はタン塩が好きなんで、それは絶対に食べますよ」
「いいよー。珍しい名前のお肉があったら挑戦してみたいね」
千鶴さんはそう言うと思ったから、部位の説明を重視したのだ。
どの部分かがわかったところで味は変わらないだろうし、同じ肉がスーパーとかで買えるかどうかもわからないけれど、焼肉屋さんならではの楽しみ方ができればいい。
こんな感じで、お肉に関する話を進めながら、僕たちは夕食を求めて歩いた。
今はそれぞれが自分で買ったものを持っているから、手をつないで歩くことができている。
今日は単なるお買い物デートだったけど、思わぬ形で千鶴さんの探偵らしい取り組みを見ることもできた。
そこで見た千鶴さんの人柄というか心持に、僕はますます惹かれることになった。
このあとは普段とちょっと違う食事になるはずだから、そこでもまた新たな千鶴さんが発見できるかもしれない。
そんなことも考えながら、僕は目的の焼肉屋さんの扉を開けるのだった。
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