第1話 引き寄せるものは

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「いや、ごめんね。蓮くんはきっと、本当の話だと思って聞いてくれてたよね」  僕が千鶴さんを疑うことはないから、千鶴さんの見立ては正しい。  しかし、千鶴さんが謝る必要はない。僕が勝手に信じただけなのだから。 「それはもう。千鶴さんがいない間どうしようって、割と真剣に悩みましたよ」 「それに関しては、実際どうするつもりなのか、気になるところではあるんだけど」  僕の思惑を伝えるわけにはいかないから、ここは話題を変えよう。  今の話が現実になる可能性はあるだろうけど、千鶴さんがわざわざうそをついたのには、必ず理由があるはずだ。 「それが知りたくてこの話をしたわけじゃないですよね?」  どうしてうそをついたんですか、とは聞かない。  僕は続く展開を予想しながら千鶴さんの回答を待つ。 「今の私の話、何も疑う要素はなかった?」  質問に質問で返された。  これは千鶴さんとの会話ではときどきあることで、こうなると僕が何かしらの有効な回答を出すまでは、僕の質問には答えてもらえない流れだ。
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