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「うそ、ですか? えっと、僕が千鶴さんに、ですよね?」
エイプリルフールの練習じゃあるまいし、どういうことだろう。
何をお願いされたのかはわかったが、その目的はさっぱりだ。
「そう。どんな内容でもいいから、蓮くんのことで私が知らない話をしてほしいの」
「え、どういうことですか? 適当にでたらめを言えばいいってことじゃないですよね?」
「もちろん。事実に基づく話をしてもらって、その中でいくつでもいいからうその内容を散りばめてほしいの」
僕に求められることがより明確になり、改めて難易度の高さがうかがえる。
千鶴さんがそれを見抜く、という企画だろうか。そっちは簡単そうだ。
「えっと、つまり……」
「例えば、学生の頃の部活の話で、蓮くんは主将を務めていて、三年生のときに全国大会で優勝したとか」
「僕は主将じゃないですし、全国大会にも行ってないので、それだとうそばっかりになっちゃいますけど」
僕が学生時代に柔道をやっていたことは前に話してある。
役職の話はしていないが、成績については触れたはず。
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