第2話 隠したくなるのは

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 永田さんの件は結局どうなったのか、それが聞きたかったけれど、千鶴さんがその話を始めないから、先に喫茶店業の片付けを終わらせることにした。  使用した食器類を洗い終えて、二人分のコーヒーを準備する。 「どうぞ」 「ありがとう。じゃあ、ちょっと休憩しようか」  そう言って、千鶴さんはコーヒーカップを持って休憩用のスペースに移動した。  僕もその後ろをついていく。 「永田さん、おもしろい人だったね」  ホットコーヒーを飲んで落ち着いていたところ、千鶴さんから永田さんの話題が始まった。  そんな感想が出るほど盛り上がったのか。 「結局どうなったんですか?」  相談時間は一時間にも満たなかったと思うけれど、依頼は成立したのだろうか。  僕は様々なケースを思い浮かべながら千鶴さんの答えを待つ。 「引き受けることにしたよ」 「ということは、まだ解決はしてないんですね?」 「うん。スロットのことは全然わからないから、判断しようがないと思って」  予想外の結果ではないが、何も返せなかった。  このあとの展開が読めないからである。
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