第2話 隠したくなるのは

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「蓮くんも、スロットのことは詳しくないんだよね?」 「はい。一度もやったことないです」 「いろいろ聞いたんだけど、かなり奥が深いみたいだよ。少なくとも、単なる運まかせのゲームではないみたい」  そうか、千鶴さんは解決策を模索するのではなく、スロットそのものについて話を聞いていたのか。  千鶴さんが永田さんのことをおもしろいと評したということは、きっと熱っぽく語ったのだろう。僕もそういう話をしてもらえばよかったか。 「なかなかやめられないと悩むだけの魅力があるってことですね」 「そうだね。実際あちこちにそういうお店はあるし、需要はあるんでしょう」  僕は実際に見たことはないけれど、新機種が出たときとかイベントがあるときなんかは、朝から並ぶ人も多いらしい。  それを聞くと、まるで勝てる機種がわかるような感じだけど、実際はそんなに甘くないのだろう。 「それで、どうするんですか? 永田さんは五千円のプランを希望してたと思うんですけど」  今日この場で解決しなかったということは、一万円のプランになったのだろうか。  千鶴さんとの話が盛り上がって、勢いで依頼することにでもなったか。
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