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「御三家のメンバーは、俺と、遼と、もう一人、月影駿哉。つまり男三人だ。俺達は生徒会を潰したいけれど、男三人だとどうしても入れない場所があって、そのせいで調べられないことがある。残念ながら女装できないゴツイ男しかいないし」
「確かにゴツイ」
「男らしいって言え」
「話の腰を折るなよ……。だから端的に言って、女子が必要なんだ」
松隆くんはその長い人差し指を唇に当てて見せた。たったそれだけの仕草なのに、妙に艶やかに見えて、思わずドキリと心臓が鳴った。
「そこで女子を探してたところに、遼が君を連れて来た」
「なにそれ……なんで私にしたの……」
どうやら妙なことに巻き込まれたようだぞ……。疲れた顔を向けると、桐椰くんはさらりと告げた。
「お前、生徒会筆頭に三週間虐められてるらしいじゃん」
「え、マジ?」松隆くんが驚いた声を上げ「マジです」私は至極真面目な顔で頷き「それなのにゴミ処理用のビニール袋持ち歩いてるとか、学習能力と根性あるなと思ってさ」桐椰くんが笑い「ははっ、確かに」松隆くんまで声を上げて笑う。
「笑いごとじゃないからね!? 君達は御三家なんて呼ばれて虐められたことないかもしれないけど、結構酷いからね!?」
「そうだな、だから、守ってやるよ」
「は?」
不意に松隆くんの声のトーンが変わった。
「守ってあげる。俺達、御三家が」
ゆっくりと繰り返された言葉に、ゆっくりと瞬きする。
「え……何言ってんの……?」
「言っただろ? 俺達御三家は、生徒会の敵対勢力だって」
松隆くんは半分後ろを向き、陽光でその表情を半分隠した。その姿は、どこか何かの秘密を隠しているように見えた。
「松隆財閥が本気を出せば、こんな学校なんてすぐに買い取れる。だから生徒会も俺達を潰すなんてできない。ただ、俺は松隆財閥に静観してほしいって頼んでる。だから俺達は自分達の手で生徒会を潰すしかない。そして、生徒会が一目置くしかない御三家の仲間に、一般生徒は手を出せない。生徒会に逆らえずに虐めの波に乗ってるやつがほとんどだから。どう?」
取引しよう、と。御三家は生徒会から私を守れるのだと、そう説明した上で、松隆くんはその契約を持ちかけた。
「生徒会に三週間虐められても登校し続ける根性、もしくは登校し続けないといけない理由があると見た」
図星をつかれて、思わず押し黙った。松隆くんの目は「当たりだね」と言わんばかりに煌く。
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