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「アタシ達の生徒会室でそーゆーやらしいことしないでくれない?」 「す、すみません、そーゆーわけじゃ……」 「やらしいことするなら相手選ぶし……」 「ちょっと何で私のこと貶すの!? どっちの味方なの!」 「きゃんきゃん騒がないでよ、馬鹿のくせに」  はーあ、と溜息をつく美女。それを見た彼が舌打ちした。 「清楚系優等生気取ってるだけのビッチに馬鹿呼ばわりされたくねー」 「は? ちょっと何、何か言った?」 「別に? おいいい加減退けよ、帰るぞ」 「あ、ごめん」  彼と美女の仲の悪さは知っていたけれど、相変わらず一の罵詈に二倍の雑言で返す、この有様。うーん、悪いのはどちらかと聞かれたら両方だ、なんて呑気に考えながら立ち上がると、彼も素早く起き上がった。ビッチ呼ばわりされた美女の頬はひくひくとひきつっている。 「ねぇ……生徒会室に勝手に潜り込んでた挙句、アタシをビッチ呼ばわりとか、何様のつもり? とりあえず謝罪くらいして帰れば?」 「いや事実だし? 俺達、今日生徒会室の掃除任されて掃除しに来てただけだし?」  そんなの口から出任せ、それでもって、生徒会室の管理を任されている生徒会役員──この美女からすれば、大嘘なのも明白だ。つまり誤魔化す気すらない。 「へぇ、そう。じゃあ何で用具入れなんかに入ってたの? 趣味?」 「あー、そうそう、趣味。ちょっと狭いところで楽しんでみようかと思って」 「じゃあ次はアタシと楽しんでみる?」 「ビッチなんかとやる趣味ねーよ」 「だからアタシはビッチじゃなくて──」 「真実の愛を育める男を探してるんだっけ? 俺はお前と真実の愛なんて気色悪いもん育めないから遠慮しとく。んじゃ失礼しましたっ」  息もつかずに捨て台詞を吐き、彼は私の腕を掴むと、廊下側の窓まで走って、そのまま窓を開け放って飛び出した。彼ほど身軽に窓から飛び出すことなんてできず、私は窓枠に上って廊下に飛び出た。私達が走り去る廊下に向かって、窓から顔を出した美女が叫ぶ。 「桜坂(おうさか)さん!」  なんで私の名前だけ──と、思いながら振り返ると、その美女の口角が吊り上り、その目元が意地悪く歪んでいた。 「御三家のお姫様ごっこは、楽しい?」  ぐっと、私は唇を引き結ぶ。今までだったら、何も言い返さなかったけど。 「っ楽しいです! クソビッチお嬢様に牛耳られてる生徒会よりずっと楽しいです! 分からせてくれてどーもでした!」  負けじと声を張り上げて叫んだ。隣の彼がくすっと笑う。 「お姫様じゃなくて下僕だろ」 「うるさい!」  私は、御三家の下僕です。
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