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「おい、駿哉がお呼びだ。つか放課後来いって言ったろ」
「え? 何が?」
「下駄箱にメモ入れただろ! ゴミが入ってまぎれないようにガムテープで目張りすんの大変だったんだからな!」
桐椰くんの口から飛び出した衝撃の事実。嫌がらせの一つだと思ってたあのガムテープ……。
「あれ桐椰くんの嫌がらせだったの!?」
「嫌がらせじゃねーよ対策だ!」
確かにいつも通りゴミを入れられたらルーズリーフ一枚の手紙なんて紛れて捨ててしまったと思うけど。
「でもどっちにしろどこかなんて書いてなかったじゃん!」
「書いただろ! いいから来い、駿哉が怒ってる」
なんだと……。桐椰くんの発言は色々とツッコミ所満載だったけれど、一番最後の一言が一番謎だ。なぜ会ったこともない人に怒られてるの、私。
まあでも桐椰くんが出てきたってことは生徒会役員になる話は自然消滅だし……と立ち上がると、そのままひょいっと、俵担ぎをされた。
「え!? ちょ、ちょっと!」
「ちょっと桐椰くん! 彼女は、」
「うるせーな。コイツがなんだ。次はコイツを殺そうってのか?」
──殺す? その言葉に眉を顰めるけど、俵担ぎの状態だと蝶乃さんの表情はおろか、桐椰くんの表情も見えない。
「まだそんなこと言ってるの? 言ってるでしょ、あれは事故だって」
「まだそんなこと言ってんのか? あれは事故じゃなくて、お前らが殺したんだんだろ」
桐椰くんの声が地を這うように低くなる。
「俺達は絶対に許さないからな。絶対に、証拠掴んで潰してやる」
「あっそ。ただの事故だって分かるだけだと思うけどね」
これが、御三家が生徒会に敵対する理由……? 詳しく聞きたいのはやまやまだったけれど、今はそれどころではない。
「それより、いい加減御三家をやめて指定役員になる気はない? 桐椰くんならまだ歓迎してるけど」
「うるせーな。何でお前らなんかとつるまないといけねーんだよ。言ってるだろ、セフレは他で見繕えって」
はぁ、と桐椰くんは溜息をついて歩き出した。お陰で俵担ぎ状態の体が揺れる。とはいえ力持ちなのか、腕は力強いし、最小限の振動しか感じない。ただ、そんなことは関係なく、男子の腕が自分の腰から背に回ってると思うと、さすがの私も抵抗感を覚えざるを得ない。
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