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「もう一度言うけど、俺達は別に無理強いするつもりはないよ? そこを決めるのは桜坂の自由だし。ただ、正役員の話を断っちゃったってことは、必然的に今まで以上に生徒会の敵に回ると考えたほうがいいよね」
「あ、悪魔! 松隆くんそんな顔して悪魔だ!」
「よく言われるよ」
にっこり。ぞわぞわっと背筋に悪寒が走った。でも、よく考えたら私は桐椰くんに無理矢理連れ出されただけだし、ちゃんと説明したらもう一度指定役員になれるのかも……?
「遼に拉致られたって言えば済むかなって考えてるなら、それは無理かな? ただでさえ蝶乃は桐椰の行動にやたら突っかかるし、応接間に入って蝶乃に喧嘩売って出てきたら、もう御三家に取り込まれたとしか思われないよ」
はっ、と桐椰くんを見たけど、涼しい顔で私を無視。
「俵担ぎで連れ出したのって計算……?」
「俵担ぎしたんだ? 俺はお姫様抱っこって言ったんだけど」
そこじゃない!
「あぁ、計算だよ。もう御三家のもんだって伝えたから、今更指定役員やろうとしたら完全に俺達のスパイにしか思われないだろうな」
「最低! 桐椰くん最低!」
「ちなみにこの作戦考えたのは駿哉だ」
「御三家性格悪すぎ!」
わっと顔を覆ってみせたけど、三人はどこ吹く風と言わんばかりの態度。
「大丈夫、その代わりちゃーんと、契約通りに守ってあげるから」
「あの……でも今後生徒会に狙われるとしたら、御三家に協力してるからってことになりそうなんですけど……」
「まあ盗みに入るときは遼が見張りをやってくれるし」
「無視!?」
「そんなに騒ぎ立てなくても大丈夫だ、桜坂さん」
黙っていた駿哉くんがブリッジに人差し指を当てて眼鏡を押し上げながら言った。
「試験初日、遼と一緒にいるところを目撃されている時点で、君は終わっていた」
どういうこと。
「遼はこれでも女子人気が高いし、見ての通り男の生徒会役員と喧嘩ばかりしてるから恨みも買っている」
「おい後半要らねぇだろ」
「正役員を筆頭に主に男子役員は俺達を敵視してるが、指定役員以下の女子、つまりほとんどの女子役員は建前がどうあれ、俺達を嫌ってはいないし、むしろ逆だ」
「御三家は顔に物を言わせて女子人気を獲得してるってことですか?」
「理解が早くて助かる。つまり、女子役員は正役員の脅威さえなければ御三家につきたいのが本心だといっても過言ではない」
なんて自信過剰な発言……。と思うけど、御三家の三人の本性さえ知らなければ、その容姿からファンがついててもおかしくない。
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