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「で、も……ほら、今、私、御三家と一緒にいて……生徒会の敵だと思うんだけど……」
「そう、それ聞きたかったの!」
「はい?」
その話題こそ、と、大橋さんは意気込むようにご飯を呑み込んだ。
「御三家って女子に見向きもしなかったのに、なんで桜坂さんが気に入られたのか!」
下僕ですけど。
「見向き……もしないの? 少しは仲良い女子とか……」
「あー、月影くんのこと? あれは遊び、仲が良いわけじゃないよ」
思わぬ事実に目を剥いた。女嫌いの月影くんが女遊びをしていただと?
「でもあたしはちょっと遊ばれたいなーって思ったことあったかなー。だって超頭良くて超クールな月影くんが実は慣れてるっていうのがいいじゃん」
「なにその性癖」
キャハハなんて笑い声が聞こえる中で呆然としているのは私だけだ。なんなんだ、月影くん。今朝だって私に散々罵詈雑言を浴びせたくせに、一体なんなのだ。
「でもー、そんなこと言ったら、あたしは桐椰くんがいいかなあ。月影くんはちょっとクール過ぎるから、桐椰くんくらいがカッコいいよお。時々喧嘩しちゃうちょっと悪い感じがいいし、孤高の狼って感じ」
檜山さんの意見、確かに一理ある。今朝も月影くんに見捨てられてたし、間違いなく孤高。
「アタシはずっと松隆くん推しだから。もう本当に二次元みたいに顔がいいし、どこの王子様なのってくらい優しいし紳士だし、笑いかけてもらえたら一片の悔いもなしって感じ!」
再び我が耳を疑った。優しい松隆くんなんてこの世に存在するのだろうか。もしかしたら私が知っている松隆くんとは別の松隆くんかもしれない。でも私が知ってる松隆くんはあの計算高い腹黒さで紳士を気取るのも簡単だろう。その意味で舞浜さんの推しは私の知っている松隆くんで間違いない。
というのはさておき……。いつの間にか話題は個々人の推しメンの話にシフトしていた。それどころか「月影くんっていまは遊ぶのやめちゃったよねー。あたしも行けばよかったー」「てかさー、桐椰くんって実はちょっと可愛いとこない?」「分かるかもー。桐椰くんは御三家の可愛い系担当だよね。松隆くんは王子様担当」と私の知らない御三家の話をしている。
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