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「ところで……話がそれてたと思うんですが、生徒会の敵で元虐められっ子の私と話してて大丈夫なんでしょうか……?」
「えー、御三家の仲間なら大丈夫でしょー」
舞浜さんがニコッと笑った。確かに私は大丈夫なんですけどね。
「……でも、御三家って生徒会の敵だからみんな関わらないんじゃ……」
「今までは御三家も御三家だけで固まってたからさー。でも今は違うじゃん?」
「御三家が仲間を作るって分かった今、一般生徒は生徒会より御三家につくほうが賢い」
「そゆこと。アタシ達、仕方なく生徒会についてただけで、蝶乃さんとか嫌いだし」
「多いんだよー、そういう人。所詮生徒会なんて親の金以外何もない人ばっかだし。それでも生徒会に従ってるのは、本音と建前ってやつ?」
「鹿島くんはまあまあイケメンなんだけどねー」
「アタシは猪股くんも好きだけど? めちゃくちゃイケメンじゃないけど、結構正統派だし」
「まーでも、御三家に比べればねー」
私そっちのけでキャッキャッと騒ぐ三人についていけず、黙々とおにぎりを頬張って誤魔化した。そしてふと教室の様子をうかがって──気付いてしまった。みんなの“先を越された”という視線に。
そうだ。舞浜さんたちが急に私に声を掛けたのは、御三家に近付きたいから、なんて言うとちょっと語弊があるんだ。
確かに、舞浜さんたちは、御三家を純粋に異性として気に入ってはいる。ただ、それとは別の問題として、生徒会のことが気に食わず、しかし生徒会至上主義のこの学校では逆らうことはできない。
だから、御三家が私という一般女子生徒を取り込んだのを知り、堂々とその波に乗っかることにした。舞浜さん達は私と御三家の契約を知らないから、御三家が私を気に入ったかのように見えている。二匹目のドジョウになるのは自分達だ、そんないやらしい期待を持っているんだ。
それはきっと、視線を送るクラスメイトも同じ。
ああ、本当に、この学校は、欲と打算にまみれた汚い学校だ。
「ねぇ、それで、なんで御三家の仲間になれたの?」
「さぁ……桐椰くんが生徒会に負けない根性あるって褒めてくれたから、それかな……?」
「あー、確かに、生徒会を敵に回したら一ヶ月ももたないからねー、普通。亜季はよくがんばったよー」
急に名前を呼び出した舞浜さんが、ぽんぽんと慰めるように肩を叩いた。
お昼休みが終わった後、叩かれたところを払っておいた。
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