二、御三家と下僕の契約事項、注意書き

1/62
前へ
/241ページ
次へ

二、御三家と下僕の契約事項、注意書き

 朝、起きてくると、キッチンにはお父さんが新聞を広げて座ってた。その向かい側に座ると、新聞から顔を上げたお父さんが微笑む。 「おはよう、亜季」 「おはよう。今日はゆっくりなんだね」 「ああ、今日は朝礼がないから。亜季、高校は楽しいか?」 「うん」 「そっか。良かったよ、たまたま──」 「ねぇ、早く食べてくれない? 片付かないから」 「……はい」  お皿の上のトーストに手を付ける。黙りこくったお父さんに視線を向けず、とりあえず口のなかにトーストを詰め込んだ。 「……あの、もうすぐ第一考査の結果が出るんで、」 「それがどうかした?」 「学年で十位以内に入ったら、少し授業料が免除されるみたいです。また成績と減免措置については書類を持ってきます」 「学費の話なら拓実(たくみ)さんにすればいいでしょう」 「そうでした。すみません。お父さん、また減免措置書類貰ったら出します」 「あ、ああ……」  そのまま半分以上残ってるトーストを数十秒で口の中に入れて、飲み込む。 「じゃあいってきます」
/241ページ

最初のコメントを投稿しよう!

7人が本棚に入れています
本棚に追加