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「……ところで、学校で三年生にあんなことして、停学とかにならないの? 大丈夫?」
「さぁ、大丈夫じゃない? 今まではなったことないし」
今までも三年生に殴る蹴るの暴行を加えていたのだろうか? 怖くて聞くことはできなかった。
「そもそも、金持ってたら手を出されないのは生徒会が証明してるから、俺もまた然りだし」
「嫌なヤツですね、松隆くん」
「俺の家、寄付も何もしてないけどね」
寄付も何もなくても、背後に財閥が控えてるだけで恐ろしいってことだろうな。
「あれ、でも桐椰くんって停学になってなかったっけ?」
「あれは先生の目の前でやっちゃったから、さすがに看過されなくてね。普段は俺と一緒にいるってことが免罪符になってるんだけど」
使い方が正しすぎる“免罪符”。本当にお金で買ってる……。
「で、桜坂、その眼鏡どうする? もしかしなくても、半分俺のせいだよね?」
少しだけばつの悪そうな顔をされて「いやあー……」と返事に困ってしまった。確かに、松隆くんがなにもしなければ歪むことはなかっただろうけど、そんなことで松隆くんを責めるつもりはない。
「桜坂が気にしないなら俺が弁償するけど」
「え、いいよ別に。あ、いいっていうのは弁償しなくていいって意味ね。もとはといえば生徒会のせいだし」
「そういう意味ならなおさら俺がするかな。アイツらは無名役員だし。相手が笛吹なら微々たる出費をさせたけど」
金出さないだろうから話をするだけ面倒だ、と松隆くんは腕を組んで溜息を吐いた。無名役員なら弁償させないってことは、やっぱり御三家は一般生徒の味方の側面もあるのかな。
「松隆くん、一般生徒とか無名役員には優しいんだね!」
「カスでも数いればいつか何かの役には立つからね」
涼しい表情とあくどいセリフに私の笑顔は凍った。前言撤回、御三家の辞書に情けはない。
それはさておき、と松隆くんは長い足を投げ出すようにしてソファの背にもたれた。
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