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その後、桐椰くんと生徒会室前までたどり着いた時には、月影くんと松隆くんが待っていた。月影くんは隣に松隆くんがいることにも構わず窓に凭れて本を読んでいる。ブックカバーのせいでタイトルは分からないけれど、新書サイズだった。
「遅かったね」
「悪いな。コイツがクラスの噂話聞きたがって」
「噂?」
「俺達が出たら、急に御三家についたほうが良かったとか話が始まってな。俺達のクラス、指定役員いねぇし」
「なるほどね」
一瞬きょとんとした松隆くんはすぐに納得の色をみせた。次いで「その点、俺達は指定役員がクラスにいるから俺達の味方はいないね」と月影くんに話題を振る。月影くんは器用にも本を読みながら口を開いた。
「いや、お前のクラスはお前のファンがいるだろう。表立ってはいない、という程度じゃないのか」
「それを言ったら駿哉も人気はあると思うんだけどね。いかんせん女子に対する態度が……」
「仕方ないだろう、嫌いなものは」
本を閉じ、月影くんは、いつも通り銀縁眼鏡のブリッジを指で押し上げる。丁度その時、タイミングを見計らったかのように生徒会室の扉が開いたせいで、私達の注意はそこに移る。
立っていたのは蝶乃さんだった。相変わらず不愉快そうに桐椰くんを眺めた後で、松隆くんに視線を移す。
「そんなところで話してないで中に入ったら? アタシ達も暇じゃないの。さっさと話して終わりたいんだから」
「それは俺達も同じだからありがたいね。鹿島はいるの?」
「明貴人はあなた達に構うほど暇じゃないの。笛吹先輩とアタシが説明してあげる」
名前で呼ぶなんて、会長と仲良しなんだなー。蝶乃さん美人だし、彼女だったりして。
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