二、御三家と下僕の契約事項、注意書き

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 その後、ごく自然に第六西へ行き、松隆くんと桐椰くんがソファ、月影くんがパソコン前の椅子に座った。松隆くんは腕を組んで溜息をつく。 「消去法で決めよう」 「何を?」 「桜坂と組む相手を」 「えっ、消去法は酷くないですか? こんなに可愛い私とカップルごっこできるんだから――」 「とりあえず、俺は選択肢外だろうな」 「そうだね、駿哉はさすがに向いてなさすぎる」 「ってことは俺かお前か……面倒くせえな」  みんな私のことを無視だ。酷い。 「あとは蝶乃と鹿島を見張る役も考えないといけないから、それとの兼ね合いかな」 「……蝶乃の隣かコイツの隣か……?」  桐椰くんの顔がひきつった。究極の選択でも迫られているかのような顔だ。 「そんなに私とカップルごっこ嫌なの?」 「嫌に決まってんだろうが、お前(にぶ)そうだし」 「失礼な! 確かに運動神経はあんまり良くないけど!」 「ただ、あの女の近くにいるのも……」 「桐椰くんと蝶乃さんって何かあったの?」  桐椰くんは蝶乃さんを毛嫌いしているし、蝶乃さんも桐椰くんにはやたらめったら突っかかる。それを思い出しながら何の気なしに尋ねたつもりが、第六西の空気が凍った。というか、桐椰くんが一人だけ硬直した。なんだろう、そんなにマズイこと聞いたかな? もしかして桐椰くんの地雷か弱味?  わくわくと目を輝かせながら身を乗り出すと。 「ああ、知らないのか。元カノなんだ」  ……。……え? 「え!」 「おい言うなよ……」  思いがけぬ過去の事実に唖然とした、というか耳を疑った。元カノ? とてもじゃないけど相性が悪い気しかしない。そもそも二人の態度だってそんな風には見えなかったし、いやビジュアル的には美男美女でお似合いだけど……。 「なんで!?」 「別になんでもなにもないけどな……」  あまり答えたくなさそうな、ぼそぼそとした声だった。
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