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――(三)契約遂行のため、主人も恥辱に耐えなければならない――
学校が文化祭ムード一色に染まり始めたせいで、授業時間も文化祭準備に割かれることが多くなった。お陰で、私と桐椰くんはクラスから仲間はずれにされることに。
「だが、これだと票が入んねぇんだよな」
「なるほど、クラスの手伝いをしてポイントを稼ごうと。したたかですね、桐椰くん」
「戦略だ。ただでさえ御三家に味方いねぇのに」
そう言うが早いが、桐椰くんは立ち上がり、近くにいた赤木くんを捕まえる。
「おい、クラスの出し物って一応クラス全員でやるだろ。仕事くれよ」
「はぁ? お前なんかにやる仕事ねーよ」
だがしかし、赤木くん、拒否。そして桐椰くんが仕方なさそうに首を回してバキッボキッと音をだす。完全にヤンキーかチンピラだ。現に赤木くんの肩がびくっと震えた。
「な、なんだよ! 話し合いには参加しなかったくせに!」
クラスの出し物を決めるホームルームのことだ。クラスに無視されているのをいいことに私と桐椰くんが教室の隅っこでコソコソと生徒会室に忍び込む算段を整えていると、いつの間にか提案・投票が行われ、二年四組の出し物は和風喫茶に決まっていた。
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