黄昏は世界を連れて終わる

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 仕方なく道なりに歩みを進める。先輩とは1回だけ行ったなあ。高校の近くにあるラーメン屋さん。食欲がないけどラーメンが食べたいと言う先輩のために、ラーメンと餃子を頼んで取り皿に分けた。少ない注文だったのにまた来てとトッピングおまけのチケットをくれた。あのチケット、使っておけばよかった。  商店街を抜けて、公園を通る。ここまで来ても見つからない。ため息をつきながら、ベンチに腰を下ろした。  南口だったのかな。人は見かけるのに、金色の髪はいなかった。  こんなことなら、どこへ向かうのか正直に訊いてしまえば良かったかな。でも、会ったら怒られそうで面と向かって訊くなんてできなかった。  先輩と最後に会ったのは、病院の一室で『もう来なくていい』と言われたきり。先輩の強がりだとわかっていたけど、どうすることが正解かわからずに、あたしから会いに行くのをやめてしまった。  そんな先輩に今更どの面下げて会えるというんだろう、というのもある。とても顔を合わせられなかった。だから黙ってついてきた。  ただ、どこに行くのか知りたかった。知ることができたら、あたしが満足する気がしただけ。
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