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「自分のね、学校での立ち位置確立するのに人を犠牲にする人がいるんだよ」
「芸能人でも人の暴露をするとか、私生活の切り売りとか、そういう事なのかな。何か突拍子もないことをしなきゃ人間関係つくれないとか、コミュニケーション能力に問題ありすぎじゃない? 承認欲求がヤバイ。そんなことしなきゃ自分を認めてもらえないと思ってんじゃん。すっごい短絡的な発想。周りの人たちもさ、止めなかったのかね」
「その場の雰囲気、ウケ とか、ノリにまかせての。それが、もっと可愛い子だったり、声の大きなグループの子だったらまた違ったんだろうけどね。私、まあ、いいか。で終わちゃったから。それ以外の中学生活は特に問題なかったし」
「でも、それが嫌でわざわざ遠い高校来たんでしょ」
「遠くって言うかその子たちにはもう会いたくないって思ってさ」
「まぁ良くなかったんだよ、紅葉! 」
「そうなのかな」
「だって仁木のこと信じられないのもそういう事でしょ」
「それもある。仁木くんも、自分の立ち位置とか……迷走してたのかもしれないし」
「いや、仁木なんて立ち位置作らなくても初っ端から周りに人集まりすぎっていうくらい集まってたし。仁木って、一目見ただけでこの人クラスの中心だなってわかる顔じゃん。顔がそう、顔が。中心顔」
和香の言うことに吹き出したものの、納得できてしまう。
「そっか……。でも、ノリで賭けでもしてたかもしれないし。モテない子をからかうとか」
「無いでしょ。そんな幼稚な事するタイプじゃないし。いつも一緒にいる黒須真生もそんなタイプじゃない。あ、私同中なんだけど、品行方正なタイプだよ。優しいって有名だった」
「でも……話したことないんだよね、仁木くん」
「うーん、そっか。でも、話したことない子からもいーっぱい告白されてそうだけどね、仁木」
「確かに」
としか言いようが無かった。確かに、私たちが嘘であれ本当で、あれ以降周りから『クスクス』が聞こえてこないのは事実だった。
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