1035人が本棚に入れています
本棚に追加
――翌日
補習のために学校へ向かう。行きたくないなと散々思ったけど、一気に新学期が始まるより、補習程度の生徒数で徐々に心の準備をするのにいいのかも。
会うと気まずい人はまだ会わずに済むわけで。
補習にだけ集中できるように前の席に座った。みんな後ろの方の席に座るだろうし。
そう思っていたのに、私の横にバンッとカバンが置かれた。ん?と顔をそちらに向ける。
男子だ。何だ、知らない男……子。
「あー、岡町さんか」
「小野原くん!! 」
「……声」
小野原くんは私の大声に顔をしかめた。
「あ、ご、ごめ……」
だって、小野原くん、髪は顔にかかってないし、眼鏡もかけてないし、全然おとなしそうじゃなくなっていた。
「そんなビビらなくても」
「だって、雰囲気がすごい変わってたから」
「あー……、もうどうでもよくなって。もういっか、と思ってさ。大人しくしてても真生も仁木も構ってくれるし、せりも。……ああ、まぁ、せりは」
せりの名前を出した時、小野原くんは微妙に歯切れが悪い感じで、何かあったのかと思う。……そうだ、せり、夏休み前に告白するって。どうなったんだろう。
「似合ってる」
私がそう言うと小野原くんは前を向いたまま少し笑った。大人びた横顔に、無駄にドキリとしてしまう。何だろう、汗が出てくる。
「仁木とはうまくやってんの」
どぎまぎしていた私は不意を突かれ、肩がビクついてしまった。それに気づいた小野原くんは私の方へ顔を傾けた。どうしよう、本当の事を言うべき?仁木くんから何も聞いてないってことだよね。
最初のコメントを投稿しよう!