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「告白って、告白? で、OKしてんだよね、もちろん」
和香は声を出さない大声で、わぁぁぁあと言った。
「した」
「だよね、断るわけないけど」
「したのはしたんだけどさ。おかしいと思わない、和香」
「おかしい……? 」
「仁木くんが私を好きってこと」
和香は私に品定めするような、親しいから許される不躾な視線を寄越した。
「別に、おかしくないけどな。いつ仲良くなったの、とは思うし。ほら、いつも話してる積極的な女子とはそんなんじゃないんだ、とか。彼女いなかったんだ、とか色々思う事はあるけど、別におかしいまでは思わないかな」
和香は、さっぱりした性格で、冷静沈着で浮ついていない。かと思えばミーハーなところもあるし、とにかく、正直に言ってくれたというより気を使われた感じはする。
「もー、 私だよ。私。和香は私の友達だからそう言えるんだよ」
「はは、そんなんこと無いってば。でも、信じても信じなくても、仁木くん紅葉に告白したんでしょう? それで紅葉もOKしたんでしょ? 何が問題? 」
「うーん……信じていいかわからなくて」
「いや、紅葉が告白して付き合ってもらえたなら信じられないのはわかるけど、向こうからでしょ? 好きじゃないと好きとは言わないでしょ」
「それがさ……」
私は中学での出来事を和香に聞かせた。何度も嘘の告白をされたこと。
うんうん聞いていた和香の眉間に皺が刻まれていく。
「は、何それ。そんなくだらないことする奴いるの? 」
呆れと怒りの混じった顔で和香は言った。
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