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悩みは疑心により
悩みの海に溺れ始めたのは、先週の月曜日だった。
その日、俺は絶賛片想い中の美梅ちゃんに告白された。
まさか両想いになれるだなんて誰が思うだろう。彼女は我が高校のアイドル的存在だ。高嶺の花。夢の姫君。別世界のお嬢様。雲上の女神様。俺の足らぬ語彙力ではこの程度しか表現できないが、とにかくものすごくかわいくて、崇め奉って神社に奉納した上で宝箱に仕舞い、それを耐火金庫に入れて、拝みたいときに拝めれば幸せを得られるような素晴らしすぎる女の子なのである。
そんな美梅ちゃんが、
俺のことを好き!?
おい。どこかにカメラあるんだろ。動画上げてバズるつもりだろう。
冴えない男子高校生が舞い上がった後に傷つく動画は世間から批判されるぞ!
と、思っていたが、どうやら美梅ちゃんは本当に、本気で、俺のことが好きだと言った。
ありえない奇跡は一生分の運を使っても賄いきれない。商店街の福引ですらポケットティッシュしか貰えない俺が、まさか美梅ちゃんをカノジョにできるだなんて、そんな運があるもんか。
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