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『その夢が叶うなら、例えゲームの為に貯めたお年玉が全て消えようとも構わない……。by勇者』
『縦しんば世に現存する全ての菓子を集めたとて、その夢の価値と比べれば塵芥に等しい……。by賢者』
時の偉人でさえ例外なく追い求めた夢……。
ましてや年頃の男の子ならば悪魔に魂を売り、血の涙を流してでも手に入れたいと懇願する魔法……。
そんなファンタジー魔法と言えば、ズバリ!
『時間よ止まれ~!』
…………ピ
タ
ッ…………
「ふっふっふ……これで女風呂がのぞき放題だぜ」
と~
『透明人間にな~れ~♪』
………ス
ル
ル~…………
「ふっふっふ……これで女風呂がのぞき放題だぜ」
の2つだと思うんです。
「偏見だ~!」 と騒いでも異論は認めません、だって間違ってないでしょ?
まぁ面と向かって聞いたら、みんな紳士の仮面をスチャッと被って「そ、そんな事かんがえてないよ~♪」って誤魔化すんでしょうけど、教室で男の子を舐めるような視線で観察して来た私は欺けませんよ……12年の人生経験は伊達じゃありませんからね……フッフッフ。
と言う事で、もしもこの2つの魔法を手に入れたら本当に夢が叶うのかを検証してみましょう。
①『時間よ止まれ~!』
漫画でもよく描かれる魔法ですけど、作中で一番多いのが『自分の時間も止まっちゃう』って失敗じゃないでしょうか?
時間を止める魔法を発動した途端、意識はあるのに自分自身も動けなくなって。
「だ、だれか時間を動かしてくれ~……」
…………。
………。
……。
…。
フェードアウト……。
チャンチャン。
ってオチがつくやつ。
分かりやすい失敗だけど、それだとお話が続かないので幾つかの作品では言い訳じみた設定をペタペタとくっ付けてますよね?
何とか辻褄を合わせようと努力した跡が見られますが、何が何でもお風呂を覗く展開に持って行きたいのかしら……。
ふぅ……分かりました、だったら追加の設定はどんどん採用しましょう!
まずは『周りの時間は止まるけど、自分の時間だけは止まらない』って設定をペタペタ。
まぁ身勝手と言うか、ご都合主義と言うか……。
でも、この設定だと自分は自由に動けても、自分以外の人や物は固定されてるから移動させられないとか、空気も動かないので息が出来なくなっちゃうとか、色々と不都合が出てきちゃいそうですよね……。
う~ん困った……お風呂覗きが遠のいちゃいましたよ、どうしましょ……。
では、更に追加設定をペタペタペタ。
『時間を止めた人が触れた物だけ時間が動き出す』
これで体が触れてる空気の時間も動くので、全身に薄い空気の層ができる感じで呼吸も大丈夫♪
動き続ければ新しい空気の層が出来るので「ぐ、ぐる”じい”……」ってなる事もないし、女風呂に向かってルンルン気分でスキップだって出来ちゃいます。
良かったですね~。
まぁ、動き回った場所の空気が呼吸で無くなっちゃうから、時間を動かした瞬間に突風が吹き荒れて「ひょえぇえぇえぇ~!」って凄い事になる描写の漫画もありましたけど、それはそれ、これはこれ。
大事の後の小事。
女風呂を覗くと言う崇高な目的の為には多少の被害には目を瞑りましょう。
そうじゃなきゃ夢はいつまでたっても叶いませんからね。
でも、ふと思ったんですけど。
この設定だと女の子に触れる事は絶対に出来ませんよね?
触れた途端にその子の時間が動き出して気付かれちゃいますから……。
もしかして本当に見るだけ?
それだけで満足なの?
…………。
ちょっと理解するのが難しい心理だけど、探究者はそんな事じゃ駄目です!
『人を知るにはその者が何に執着するかを知れ、同意は出来なくとも理解はできるのだから』
って有名な偉人のホニャララさんが言ったとか言わないとか……。
なので12年の人生で得た知識をフル稼働させて!
ぽくぽくぽくぽくぽくぽくぽく……。
……チーン♪
…………。
うん、分からない!
なので先に進みましょう。
結論として、ここまで都合の良い設定をペタペタしたら本当に夢は叶うんでしょうか?
自分だけ動ける……お風呂屋さんに行けるからオッケ~。
呼吸できる……興奮して大量に酸素を消費してもオッケ~。
触った物は動かせる……女風呂の扉を開けられるからオッケ~。
よし! あとは念願の『見る』行為だけです!
見る……だけ……。
…………。
あれ?
物が見えるって言うのは、物体に当たって反射した光の粒子が目の中に入ってきて、網膜に当たる事で刺激が視神経から脳に伝わり、それで初めて起きる事象ですよね?
光ってすんごく早いから忘れがちですけど、反射して目に飛び込む為には0.0000……1秒って超~~短い単位の『時間』が必要なんだから、時間が完全に止まったら光の粒子も動かなくなって目の中には入ってこないのでは?
あらららら大変大変、女の子の裸が見えなくなちゃう……。
この失敗が描かれた漫画を見た事がないので、もう一度ゆっくりまとめてみましょう。
時間を止めると光も動きを失うので網膜に当たる光の粒子は無くなり、何も感じない真っ暗闇の世界になっちゃう?
「だったら時間を止めた本人が前に歩いて、自ら光の粒子を目の中に取り入れればいいじゃん」
って必死な声が聞こえてきましたけど。
確かに目の前に止まってる光の粒子は目に入って来ますよ、でもそこには真っ直ぐ自分に向かって来る光だけじゃなく、本来なら見る事の出来ない横方向からの光や自分から遠ざかる光も同じように止まって浮いてますよね?
それこそ色んな方向に飛んでいく筈の光の粒子がい~っぱい……。
それが目に触れた途端に全部動き出すんですから、ものすっっっっっごく眩しくなりませんか???
だとしたら時間を止めた後は女風呂を覗こうと思っても、じっとしてると真っ暗闇で、歩いたり走ったりすると目に入る光の量が変わり、目まぐるしく眩しさが変化する白い視界にって……。
やっぱり夢は叶わないから夢って言うんですね……素直に諦めましょうか?
②「いやいや、俺にはまだ『透明人間にな~れ~』が残ってるぞ!」
って声が聞こえてきたので、今度はこちらを考えてみましょう。
透明人間って色んな作品に出てきますけど、設定はバラバラですよね。
生まれつきの体質の場合もあれば、お薬とかの実験で透明になっちゃったとか。
でもここでは『ファンタジー魔法』で透明人間になれる場合を考えましょう。
その方が一気に解決できる問題が多いですからね~。
例えば『着ている服は消えるのか』問題。
生まれつきの体質とか実験の失敗とか、体だけが透き通って透明になる人は大変だと思いますよ。
だってだって、その設定の透明人間さんがお散歩中にふと……。
「女風呂を覗きたくなっちゃったな……」
ってなった時、着ている服を全部脱がないといけませんよね?
下着も全部スポホーーーンって。
でも幾ら気持ちが高揚してても、冷静に服と下着を畳んでカバンに仕舞い、、ロッカーかどこかに隠さないと。
「なんだこれ! パンツが落ちてるぞ! キッタネ~、誰んだこれ!」
って近所の子供にツンツンされちゃいますからね。
その点、魔法や特殊能力で透明人間になるのは便利ですよね。
着ている服や、お口に放り込んだお弁当なんかもぜ~~んぶ消えちゃうんですから。
自分を中心に透過率を高めて見えなくするから、服も食べ物も関係ないって事かな?
兎に角、これなら念願の夢が叶いそうですよ。
それにさっきの時間停止みたいな弱点はなさそうですし、よしよし。
究極まで透過率を上げて光を素通りさせるだけだから呼吸の心配もないし~、何でも普通に触れるから移動も扉の開け閉めも問題ないし~。
いざ! 女風呂へ!
あとは念願の『見る』行為だけです……。
見る……だけ……。
あれ?
さっき時間停止の時にも出ましたけど『見る』って行為は物体に反射がウンタラカンタラ……網膜に粒子をナンタラカンタラ……ですよね?
忘れた人は上にスクロールしてください。
と言う事は……。
完全に光を透過させて一切反射をさせない透明人間はどうなるんでしょう?
網膜に光の粒子が当たる事無く、スルルルル~って通り抜けちゃうんですから刺激が脳に伝わらないのでは???
あれ? あれあれあれ~?
他人から認識されないくらい透過率の高い透明人間になっちゃうと、女の子の裸が見えなくなっちゃうんじゃ?
…………。
…………。
今どこかから
「違うもん! 時間を止めても透明人間になってもお風呂を覗けるんだもん!」
って壮大な駄々が聞こえてきましたけど、確かにそうですよね。
これは小学生の脳みそが導き出した答えであって、絶対に正解と言う訳ではないんですから。
だから夢を追いかける男の子は私の意見などは気にしないで努力を重ね、『時間停止』や『透明化』の魔法を習得した暁にはどうか『自己責任』で試してみてください。
それでは、頑張ってくださいね~、期待してますよ~♪
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