ラブホテルと私

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 部屋のドアを開けるとさっそくゴミのお出迎えだ。 テーブルの上には缶ビールの空き缶が立ったりころがったり。ポテチの袋の中にはまだ半分以上食べ残してある。バスローブもバスタオルも、ご丁寧にと嫌味を言いたくなるほど床に撒き散らかされている。 「まったくクソ野郎が。わざと散らかしやがって」  始めた頃は声にならず心の中で遠慮がちに呟いたものだが、今では堂々と声を出して独り言ちる。そして続けざまにこう呟く。 「物だけなんだから、まだましか」
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