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「ねえ!昨夜のニュース見た?もうやだぁ!」
「見た見た!なんでラブホで殺すのよ!死体の発見者なんてアタシ絶対ヤダ!」
「私だってやぁよ。でもさ、どんどん近づいてきてない?そのうちこのエリアでも・・」
やめてー!と悲鳴のような声を上げた安田さんは、ぶるぶると体を震わせる真似をしたあと自分が使っていた掃除道具を棚に戻した。その横で中本さんも道具を片付け、時計を見上げて終わり終わり!と歌うように言う。さっきの、死体の話をしていた時とは別人のような声音だった。
死体の話というのは、東京のホテルで女性の遺体が発見されたという昨夜のニュースのことだ。チェックアウト時間を過ぎても出てこない客の部屋で従業員が遺体を発見したという、ここ最近何度も耳にした出来事で、それも現場はラブホテル。半年以上前にははるか遠く離れた街で、そこから関東、東京、そして境を跨いだお隣、とどんどんとここに近づいてくる。
横浜の、とある駅近くの繁華街から少し行った場所にあるこのラブホテル街でも他人事ではないと、近隣の同業たちはきっと戦々恐々としているんじゃないかと、一介のパート従業員である私でも簡単に想像できた。
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