ラブホテルと私

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・・外に出てごらん。一人でひっそりできることからやってごらん。おもしろい出来事に遭遇するかもしれないよ。普通の人には体験できないような、不思議・・  寝ぼけていたのかよくわからないが、誰かがベッドに腰かけているように見えて、びっくりして布団をはねのけたが、誰もいなかった。 ・・なんだ夢か・・布団をかけなおして部屋の入り口に背を向けるようにして体を丸めたが、その時パタンとドアが閉まる音が、かすかに聞こえた。  翌日、いつものようにニュースサイトを見ていると、バイトアプリの広告が次々と現れた。試しに見てみると、一番最初に表示されたのがホテルの客室清掃のバイト広告だった。  24時間のうち希望の時間に働けて、一日5時間から、週に最低二日から、条件がつらつら並んでいる。そこでひときわ目を引いたのが、一人で黙々と仕事できます、という謳い文句だった。  いままでも求人広告は目にしてきた。だけど気に留めたことはなかった。なのにこの日はいつもと違って、内容を見てみようという気持ちになった。 ・・外に出てごらん・・不思議・・ 昨夜の夢の中で聞いた言葉が、どんどんと私を突き動かした。気が付くと応募の枠をクリックしていた。
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