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「でも、マジで結果論だろ。勉強みたいに、解説見て答え合わせしてやり直して、次に生かせるもんばっかじゃねーし、満点とんなきゃいけないテストが待ってるわけでもない。その時々でちゃんと考えてやったことなんだから、後から間違ってたなんて否定しなくていいよ」
私にだけ向けられる優しい目が、柔らかく細められる。
「英凜のいう過去でも、英凜は誰かを傷つけようとしたわけじゃないだろ。俺と付き合ったから言えなかった、昴夜を心配させたくなかったから言えなかった……歯車ひとつ狂えば違う未来が待ってて、英凜のやったことだって間違いじゃなくなってた。その程度のことなんだから、そんなに自分を責めなくていいよ」
ずっと、昴夜のことを好きだった。今だって、会えば懐かしさも愛おしさもこみ上げる。
それなのに、それが純粋な恋心でなく、後悔の閊えとなっていたのは、いつからだったのか。
それを見透かした言葉に、涙が溢れて止まらなくなった。人目も憚らず泣きじゃくる私に、侑生は狼狽することはなかった。ただ、まるで道の端に寄せるためのように軽く肩を抱いてくれた。
「タイムリープしてすぐ、俺に会ったとき、英凜は俺に謝ったよな。……でも、謝ることなんて何もなかったんだよ。俺は、英凜と付き合えて幸せだったんだから」
「ずっと、昴夜のことを、言えなかったのに?」
「……俺も英凜に救われてたのかもしれないって言ったろ。好きになったきっかけもそうだし……英凜と付き合い始めてから、家に帰って、ひとりで、なんだかなあって虚ろな気持ちになることがなくなった。英凜が俺を好きじゃないって分かっても、それと同じくらい俺を大事にしようってしてくれるだけで、それだけでも充分で、寂しくなんかなかった」
本当に? 昴夜が言ったとおり、本当に、侑生は寂しくなかった? あの頃の私は、侑生を傷つけてばかりではなかった?
「……大丈夫だよ、英凜」
頭の上から、侑生の声が響く。
「俺も昴夜も、誰も英凜を責めてない。英凜がミスったわけじゃない、そんなこと言ったら俺だって昴夜だってミスってる。だから、英凜ばっかりそんなに過去の俺達に縛られなくていい」
英凜はなにも悪くない、だからあんまり泣くなよ――また、あの日のセリフを思い出す。
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