Re:10 Regret

7/7
前へ
/138ページ
次へ
 駆け足で改札を出ようとして、なぜか咄嗟(とっさ)に定期を出すことができた。優しい顔が「いいよ走んなくて」と笑う。 「……ゆ……」  声が出なかった。狼のように流れる厳つい銀髪、それとは裏腹の優し気な双眸と、そんじょそこらの女子なんて目じゃない美人な顔立ち。 「どうした、英凜」  言葉を失ったままの私に、彼は“英凜”と呼びかける。 「なんかあったの?」  私は間違いなく、三国英凜(みくにえり)で。 「……ゆ、うき?」 「なに、俺がどうかしたの?」  昴夜の親友にして高校生のときの彼氏――雲雀(ひばり)侑生(ゆうき)が、十余年前の姿で、そこにいた。
/138ページ

最初のコメントを投稿しよう!

8人が本棚に入れています
本棚に追加