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史実くんの家に一緒に帰る。慣れたもので、でもやっぱり二人になれるのは嬉しい。
紅葉や和香たちみんなで行くのはテーマパークに決まった。そんな賑やかな所での史実くんはどんなテンションなのか楽しみで仕方がない。
「何笑ってんの、お前。さっきまで泣いてたくせに」
「え、だってさ。幸せだなと思ってたら泣けてきて、史実くんはテーマパークで、はしゃがないだろうなと思うとふふふふ、可愛い」
「情緒どうなってんの、お前。あのな、さすがに俺も『イェー』とかやるかもしんないぞ」
史実くんは陽キャっぽいポーズをとって見せたかから、私は笑い過ぎて死ぬかと思った。
「あはははははははははは、ひぃいい今の、今の史実くん」
史実くんはちょっと恥ずかしかったのかそっぽを向いてしまった。はぁ、後頭部も愛おしいな、この人。
「楽しみだね、史実くん」
「おー」
「学校も。文化祭とか。あの青春を凝縮したみたいなイベント」
「ふは、何それ」
史実くんは笑ったけど、めんど臭そうにもしてないし“休もっかな”とも言わなかった。史実くんにとって学校が楽しいものになっていて嬉しい。
またじんわり来てしまって、史実くんが吹き出した。
「お前、感情忙しいな」
「忙しくないし。さっきから一個の感情『好き』しか思ってないし」
「あー、そ」
史実くんは、ごほっと咳払いをした。ふん、照れろ、照れろ。
「……可愛い」
「は? 」
「せりは、可愛いな」
「何、急に」
「……『後で』っつただろ」
『後』が思ったより早くて不意打ちはキツイ。まただらだらと泣いてしまった。
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